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Vol.2  同潤会青山アパートから、表参道ヒルズへ

 

再生建築で街への融合を


 森ビルは、同潤会青山アパートの跡地に“表参道ヒルズ”を2006年・年明けにもオープンすることを発表しました。関東大震災の折、多くの住宅が倒壊・焼失した東京。時の政府は財団法人同潤会を立ち上げ住宅の提供を各地で開始しました。同潤会青山アパートはその施策の一貫として神宮前に建てられ、当時としても近代的な共同住宅地でした。大震災を教訓として鉄筋コンクリート建てとして耐震、火災に優れた住宅は、電気・ガス・水道・水洗トイレやダストシュートまで最新の設備が装備され、同時にその概観や内装も当時としては大変にモダンで美しいデザインが採用されました。それはモダンでありながらとても落ち着きがあり、時を経るごとに独特の雰囲気と味をかもし出し、緑の並木に馴染み、街に融合していました。


 十数年前から住居としての使用のほかに、感度の高い若者やアーティストたちがそこに雑貨や洋服のショップやアトリエをオープン、独自の文化を築き表参道の新しい一面を展開し、表参道の顔、シンボル的な存在として認知されてきたのです。


 しかし、その老朽化を問題とした再開発・取り壊し案が以前より取りざたされており、バブル時期にはあるデベロッパーが再開発を計画。それは頓挫したものの、98年に青山アパートを管理していた東京都が森ビルに払い下げを決定します。


 森ビルは青山アパートを取り壊し、複合施設”表参道ヒルズ”として再開発することを発表しました。その設計には建築家・安藤忠雄氏があたることになりました。地下を6階までとることで、地上部分を6階におさえ同潤会青山アパートと同じように街に馴染むような景観を目指し、また青山アパートと同じ材質の壁材を使い同潤会青山アパートを一部再現する予定です。38戸の住居と商業施設のほかに200台分の駐車場も完備。住居は商業施設とは完全に動線を別にし、日当たりのよい上層部に。また屋上は可能な限り緑化する予定でけやき並木との連続を意識します。商業施設には表参道と同じ勾配をしたスロープを取り入れ建物の中にいながらにして表参道と同じような街歩きの楽しみ、もうひとつの表参道を体験できるユニークな設計となる予定です。


 ここには、Dolce&Gabbana Omotesando、YVES SAINT LAUREN Omotesando、イギリスで高名なテーラー・GIEVES&HAWKESSTAR、JEWELRY THE SHOP TOKYO、ベルギーの老舗チョコレート店の新形態・DEL REY Cafe&Chocolatier、こちらも老舗・とらやのカフェ・TORAYA CAFEなどがはいる予定です。有名なブランドに加え、大人に向けた表参道らしく独自性とこだわりにあふれたセレクトだけにどんな展開をみせてくれるのか楽しみな方も多いかもしれません。


 再生建築を取り入れながら、街を変化させていくこのプロジェクト。表参道という街が抱いているモダンな雰囲気や古きよきものを守りながら、街をよりよくしていくことができるのか、古い建物が瞬時に取り壊されてしまう東京において、美しく魅力的、歴史的な価値のある同潤会青山アパートの取り壊しは大変物議を呼びました。他の同潤会アパートの取り壊しの件とも連動し、保存運動も行われ、マスコミにも取り上げられ、賛否両論が飛び交っています。


 そんな中でオープンを控える表参道ヒルズ。再生建築を取り入れ、また、建物の高さを6階でおさえ、屋上を緑地化することで街並みへの合を図っています。表参道という街の独自性やそのよさを守りながら、表参道ヒルズはどう発展し、そして表参道はこれからどう変化していくのか、まさに変化の最中に常にある東京のシンボリックな出来事だけに、どんな展開が見られるのか目が離せないでしょう。


 落ち着いたたたずまい、古さの魅力とゆとりをいかし、表参道はより表参道らしく、街はいま変化し続けてます。感度の高い大人たちに向けたショップやカフェの展開、そしてそこに集まる人たちとのコミュニケーション、同潤会青山アパートの跡地というある種シンボッリックな立地、そして歴史と表参道らしさを取り入れた建築コンセプト、表参道ヒルズの動向は本当に目が離せません。